「鍼灸とは」

東洋医学とは

東洋医学とは中国、朝鮮、インド、日本などの東洋諸国で発祥し、それぞれの国で伝承された医学のことをいいます。日本では特に鍼灸治療と漢方治療を意味します。病気になれば投薬、注射をし手術をして治す西洋医学とは大きく異なり、東洋医学はその人がもともと持つ自然治癒能力を最大限に引き出す医学です。

ツボ(経穴)・経路とは

東洋医学の重要な概念の一つに「気血」があります。
気血とは、分かりやすく言えば、エネルギーのこと。その気血の流れる通路のことを経絡といい、全身に12本の流れがあります。ツボ(経穴)は経絡上の要所にあり、全身に360穴存在します。
電車に例えると路線が経絡で、駅がツボ(経穴)にあたります。どこかの路線で列車が立ち往生してしまうと、全体のラッシュが乱れ大変なことになりますよね。そこで慌ててどこの路線で立ち往生しているかを調べて対処し、列車を走らせることによってダイヤの乱れを改善します。
身体でも、どこかの経絡に変調が生じたとき体調不良を起こします。そこで我々鍼灸師はどこの経絡の変調なのかを探り、適切なツボを探し、刺激することで流れを整えて体調不良を改善へと導くのです。

WHO(世界保健機構)では、
次に掲げる疾患に鍼灸治療が適応であることを認めています。

系統 分類 適応疾患の例
神経 系 神経痛・神経麻痺・筋肉痛・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー等
運動器 系 関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頸肩こり・五十肩・腱鞘炎 ・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)・各種スポーツ障害等
循環器 系 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
呼吸器 系 気管支炎・喘息・風邪および予防等
消化器 系 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘) ・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾・ 口内炎等
内分秘代謝 系 バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血等
泌尿器 系 腎炎・膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・前立腺肥大・陰萎等
婦人科 系 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・のぼせ・つわり・血の道・不妊症等
耳鼻咽喉科 系 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・蓄膿症・咽喉頭炎・扁桃炎・声枯れ等
眼科 系 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい等
小児科 系 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善等
皮膚科 系 蕁麻疹・しもやけ・ヘルペス・おでき等
アレルギー 気管支喘息・アレルギー性鼻炎・眼炎等

鍼灸治療の方法

針は「痛そう」とイメージされている方が多いのではないでしょうか?
針治療ときいて、皆様が最初にイメージする針は恐らく注射針や裁縫針だと思います。
鍼灸で使用する針はこれらの針とは全く構造が違います。
まず注射針は目的が皮膚を切り裂き、血管壁を切り裂いて薬剤を注入することです。つまり先端はメス状になっていて、しかも薬液を注入しなければならないので中は空洞になっているので太いです。メスで切られるのですから痛いのは当たり前ですよね。
次に裁縫針、考えてみてください、木綿の糸を通して布を貫通させるので太くて丈夫でないといけませんよね。そして、ほとんどの方が体験されているとは思いますが、裁縫中に指先を誤って刺しまったことありませんか?指先はとても敏感です、その敏感な指先に太くて丈夫な針が刺さったら痛いのはあたり前です。そして血も出ます・・。鍼治療で使用する針は、太さ0.1から0.4㎜まであり、ほとんどの場合が細い針を使用します。人の髪の毛でおよそ0.1㎜ですので注射針や裁縫針と違いかなり細いことがわかっていただけると思います。細い針を使用しますので痛みはほとんどありません。

鍼灸治療の方法 鍼灸治療の方法 鍼灸治療の方法

健康保険で鍼灸治療を受けるには

健康保険でも鍼灸が受けられるの?

医師の同意書又は、診断書があれば下記の疾患に対しての治療には健康保険が適用されます。

神経痛

1. 神経痛

顔、肩、腰、足など神経に沿って痛む。例えば、坐骨神経痛、三叉神経痛肋間神経痛など

リウマチ

2. リウマチ

手首や肘、膝、足首など、各関節が腫れて痛むもの

腰痛症

3. 腰痛症

腰が痛む、腰が重い。例えば、変形性腰痛症ギックリ腰など

五十肩

4. 五十肩

肩が痛くて、腕が上がらないもの

頸腕症候群

5. 頸腕症候群

頸、肩、腕の痛みやしびれ、だるさなど

頸椎捻挫後遺症

6. 頸椎捻挫後遺症

頸の外傷、むちうち症などの後遺症

7. その他

慢性的な痛みのある疾患で保険者が認めたもの

健康保険でも鍼灸が受けられるの?

  • これから かかろうとする鍼灸院にお問い合わせ下さい。
  • 鍼灸院で同意書用紙をもらいます。
  • 同意書をかかりつけの医師、病院に持参し、必要事項を記入していただきます。
  • 医師からの同意書と保険証を持って鍼灸院へ行きます。
  • 保険で鍼灸治療が受けられますが、治療期間等は鍼灸院でおたずね下さい。

【注意事項】

  • 同意書は鍼灸院にあります。
  • かかりつけの医師がいない等、同意書がいただけない場合は鍼灸院にご相談下さい。
  • 同じ病名で医院、病院等の医療機関との併給は認められませんのでご注意下さい。
  • 初診時より3ヶ月毎に医師から同意の確認が得られれば、継続して鍼灸の治療を受けることが出来ます。
  • 後日、印鑑が必要です。

【注意事項】

  • 生活保護法(生保)
    医療扶助保護を受けている福祉事務所で鍼灸治療を希望し 「保護変更申請書」を受け、「生活保護による施設費給付承認書」が交付されると、健康保険と同じように鍼灸治療が受けられます。
  • 労働者災害保証保険(労災)
    労災規定の診断書を医師より受け、勤務先で請求書に必要事項を記入されると、医院、病院と同時に鍼灸治療も受けることが出来ます。
  • 交通事故
    自動車損害賠償責任保険会社等に、鍼灸治療を受けたい旨を連絡し、鍼灸院にご相談下さい。