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芦屋市鍼灸師会ブログ - 症例報告

2018-03-19

症例報告

特発性側弯症

 

背骨は横から見ると首で前弯カーブ、背中で後弯カーブ、腰で前弯カーブ、お尻で後弯カーブというように正常な弯曲が存在していますが、正面や後ろから見るとまっすぐでないといけません。

 

しかし、側弯症では本来あってはならない横への弯曲やねじれが起こっています。これを脊椎側弯症といいます。弯曲の仕方やねじれ方はさまざまで、原因が不明な場合を特発性側弯症とよびます。

 

発症時期により、乳幼児側弯症・学童期側弯症・思春期側弯症に分かれ、1:7の割合で女子に多く、カバンの持ち方や持つ姿勢とは関係ありません。

 

自分で気づくことは少なく、小学校の姿勢検査で指摘されてはじめて判明することが多いのですが、専門医の診察を勧められて受診しても、重症でないかぎり様子見になってしまい放置されてしまいますので、結局悪化してしまいます。

 

悪化してしまうと横への弯曲だけでなく、背骨のねじれが生じ、やがて肋骨も変形し、外見上にも変化が現れ、女性の場合は乳房の左右不均等や容姿に影響が出てきます。

 

それに加え胸の変形による圧迫により呼吸器系や循環器系などの内臓にも悪影響を及ぼしてきます。また腰の場合は椎間板にかかる負担が大きくなり腰痛やヘルニアの原因となります。

 

レントゲン写真によって弯曲の度合いを測った角度を「コブ角」といいますが、30度未満が軽度、30度~50度未満が中度、50度以上が高度となっています。25度以上になるとコルセットなどの装具を装着することが多く、50度以上になると手術の対象となります。

 

ここからは特発性側弯症についての持論を展開します。特発性側弯症は起こる必要があって起こっている現象です。発症している方の多くに左右の足の長さが違っています。足の長さが違うと当然骨盤は傾きます。

 

背骨は骨盤が土台となり上に伸びていますので、骨盤が傾くことは土台が傾くことで、傾いた土台から出た背骨は当然ゆがんでしまいます。しかし、ゆがんだままではなく補正作用がはたらくため背骨の中心に戻ろうとして C カーブが形成されます。

 

ところがこの補正作用が早い時点でおこってしまうと、背骨の途中で C カーブは終わってしまい、そこから新たな C カーブが逆方向にはじまり、結果的に S カーブが形成されていきます。

 

もしこの土台の傾きが無くなれば背骨には曲がる理由がなくなります。背骨は必要があればゆがめるように、必要がなくなれば正しい位置にもどそうとします。

 

ゆえに土台の傾きをなくすためには骨盤のアンバランスを矯正する必要があります。発症している方の多くに左右の足の長さが違っていますとお伝えしましたが、実は足の長さの違いがない場合もあります。その場合は腰骨と仙骨という骨盤の中央にある骨との間のアンバランスに起因しています。

 

それともう一つ重要なことは曲がってしまった背骨をとりまく筋肉の質の改善です。土台の骨盤が矯正され正しい位置にもどったとしても、硬くなった筋肉が背骨を縛りつけていたら回復が進みません。

 

背中はいくつもの筋肉が層になっていおり、慢性化しているほど深部から硬くなっていますので容易に改善はしません。

 

しかし鍼を使うと簡単に深部まで届きますからくりかえし行ないますと、硬くなってしまった筋肉は着実に改善してきます。


以下に治療例を写真とともに記載します。

 


41回目                  61回目                  65回目


31歳女性

主訴 特発性側弯症 腰椎椎間板ヘルニア

病歴

・特発性側弯症:12才の時、学校の検査で側弯症を指摘されるが、その時は治療の機会を得ず。成人後、カイロプラクティックなどの治療を受けるが改善せず。

・腰椎椎間板ヘルニア:24才の時、ギックリ腰を発症。MRI検査にて腰骨の5番目のヘルニアと診断される。その時は運動療法(ウォーキング・水泳)により改善

 

5月に出産。6月中旬から育児により腰痛が再発。そのうえアトピー性皮膚炎が悪化し、皮膚科で漢方薬の処方を受けて服用。しかし徐々に体調が悪化し食欲が低下し、気分も滅入り育児が困難となり関西の実家に帰省。住まいは東京で3ヶ月後には帰らなければならないとのこと。

 

状態

・特発性側弯症:背骨の上は右側に弯曲、下は左側に弯曲、逆S字型のうねるような弯曲。

筋肉の盛り上がりや硬直が特に弯曲部にあり肋骨の捻転もあり、でこぼこな感じ

 

・腰椎ヘルニア:痛みはヘルニアのある部分に一致しており、左坐骨神経の経路に沿って足の甲まで痺れあり。

治療経過

・特発性側弯症:頚椎、胸椎、腰椎の棘突起両外側縁の筋緊張部、仙骨、仙腸関節に毎日鍼治療

を繰り返す。

 腰椎ヘルニア:腰仙部~坐骨神経経路に沿って刺鍼。

 

治療回数は8月~10月の86日間で70回。

 

12回目頃には腰痛もかなり改善し今まで痛かった動作を自然にしていることに気づく

18回目頃には筋緊張の改善とともに側弯症に明らかな改善が見え始める

30回目頃には精神的にも本を買って読むゆとりができる

41回目に、本人にとって見ても耐えうる状態になったので第1回目の写真を撮る。

61回目にかなりの改善がみられるので第2回目の写真を撮る。

65回目に治療も終了間近になり、更なる改善があったので第3回目の写真を撮る。

 

結果

・特発性側弯症:90%改善。本人も「仰向けに寝たとき背中が床に着く感じが左右均等になっているし、身体の感じもとても楽になり、育児も普通にできるようになった」とのこと。

・腰椎ヘルニア:仙骨の痛みがほんのわずかに残り、痺れはほとんど消失。

 

コメント

写真は治療後半から終盤に撮ったもの。初診時は非常に気分が滅入っている状態でしたので、ご本人が写真を見るとショックを受ける可能性が大きかった為あえて撮りませんでしたが、後になってご本人も私もやはり撮っておけばよかったと後悔しています。61回目から65回目の間の変化が大きいのは治療効果の蓄積によるものです。


宮川鍼灸院 宮川 浩